part5 『参考にしたブックアートの紹介』
ブックアート作品『注意!-京都貼紙地図-』を紹介するUstreamの
放送内容をテキスト化したものです。
part5では、作品を制作するにあたって参考にした
本をテーマにした作品を紹介しています。
出演
KUMAUHEIWORKS(以下:隈) 画面左下
なんしーさん(以下:な)声のみ
隈:今まで紹介していたのは、ISBNがついてて
普通に本屋さんで並んでいる本です。
多少絶版になっているものもありますが・・
次に紹介するのは、
ブックアートと呼ばれるものです。
それがどういうものかというと
これは、西村陽平さんという方の作品ですが
なんしーさんこれはご存知ですか?
な:なんか見た事ある気がします。
えっとね・・紙の本があって
それを焼いてるんですね。陶芸用の釜で。
そうしたらすごい縮んじゃって
何分の一かっていう本のぐしょぐしょになったものが
できあがるという・・
隈:画像で検索したらいろいろ出てくるかなと思うんですが・・
な:はい。いっぱい出てきました。
隈:図版が・・あるので、
ちょっとガサゴソします。
(別の場所にある資料をとりにいく)
な:はいはい。
すごい、陶芸の釜に入れてるんや・・
(資料をめくる)
隈:ちょっとね・・
立ち上がったら、
急にこの放送が
ゆるくてもいいんだなっていう
気持ちになったっていう
な:今さらですね・・
隈:解き放たれた気分になったっていうか。
な:勝手に解き放たれないでください。
隈:焼いたらいろんな形になるんですよ。
(資料を見せながら)
こういうのとか。こういうのとか。
えーとね。
上のが雑誌のELLEだったりとか
焼いたらいろんな形になりましたっていう(二回目)
な:ふーん。
どういうふうに焼いているんでしょうね。
薬液つけてるんじゃなくて
隈:釉薬・・とかはつけてないと
思います。
本を釜に入れて焼いてる。
それは、たぶん
ノウハウがあると思うんですけど。
温度調節をして焼くと
こんな形ででてくると。燃えなくて。
もともと文字が書かれていて
読む為の本なんですけど。
・・っていう本の前提を何度も言っていますが・・
な:うんうん。
隈:焼かれると
ただの物質になっちゃうんですよね。これ。
ただの物質になって
文字は全部消えちゃってるんですよね。
だけど本だとわかるっていう。
な:うんうん。
隈:用途の為に
本っていう形になったんだけど
用途を失って
成れの果てみたいな姿になっても
本だとわかるし、
それどころか
直感的に美しいものだなと思ってしまう。
現物・・常設で見れるところが
あるかどうかわからないんですけど
な:なんか5月までは愛知で展示してたみたいだけど。
隈:僕は、うらわ美術館っていう
埼玉県にあるアーティストブックとか
本に関する作品ばっかりを収蔵展示している
大変奇特な美術館がありまして・・
そこで一回みたんです。
な:うんうん。
隈:もう一つは滋賀県の信楽にある
陶芸の森美術館っていうところで見ました。
そこは、陶芸作品を展示しているところなんですが
・・さっきの奈良さんの話に関連して言うと
滞在制作とかしてはった場所ですけど
陶芸っていう文脈と
本っていう文脈と両方のところで
紹介されている作品で
見た目も面白くて美しいし、
二重の意味で考えさせられるし
すごく面白い作品ですね。
次が、渡辺英司さんという方の作品で
こういうもので・・
蝶々が載っている図鑑を
蝶々の形に一枚一枚切って立ててると
な:わーすごい。
隈:言ってしまえばそれだけなんですけど・・
まあ・・面白いですよね。
本の中に、平面的な昆虫である蝶々とか
蛾とかがいっぱい並んでて
これを切り取って立てたら
蝶々みたいになるんじゃね みたいな。
な:うんうん
隈:そういうすごく単純だけど強い発想。
・・・今いい加減な言葉を口走りましたけど
な:そうですね。
単純だけど強い発想・・
隈:とにかく、すごい。
おもしろくて。
図鑑を切って、
さらにそれを図鑑から解き放って
窓ガラスとかに貼ったりしているんですけどね。
そうすると、
同時に図鑑の方には
蝶々の形が残るんです。
そして蝶々の形っていうのは・・
本の形と似てますよね。
な:うんうん。
隈:本の中に
蝶々がいっぱいいると思ったら
本の中に本がいっぱいいた・・みたいな。
そういう入れ子状になっていて
本は、情報を閉じ込めているんだけれども
見開きっていう形自体・・
焼いても本に見えるっていうこともありましたけど、
紙の束を綴じているというものを見た時に
中にはいろいろなものが
詰まっているんだというイメージを
僕たちは読み取るじゃないですか。
な:うんうん。
隈:本があったら、
中に何かが書かれているんだと。
何も書かれていない本・・ノートは別ですけど
っていうのを滅多に目にする事はなくて
綴じられているものの中には
何かが入っているという感覚があって
本と似ている蝶々が
解き放たれているみたいなイメージが
すごい面白いなっていう作品ですね。
な:はい。
隈:本というのが、
粘土板みたいなところから変化していって
紙になって、
これからどんどん
(読む為のメディアは)
変わっていくでしょうね
っていう段階ですけど
本(紙)って
メディアとしては歴史が長い方なんですよ。
だから、その中で
僕たちが本っていう形のものに対して
抱いているイメージとか
文章を閉じ込めているっていうイメージに
アプローチしている作品を見る事によって、
本に対して今までとは違う視点を
持っていただければうれしいかなとも思います。
(そして、こういった本の特徴を別の行為の比喩として利用したのが
今作『注意!京都貼紙地図』です。このあたりの説明は、次回以降に!)
ということだったんですが、
今でだいたい2時間やりましたね。
な:もう2時間か・・
隈:でも最初めっちゃ雑談でしたからね。
一応予定としては、この次あと二つあるんですけどね・・
どうしましょうかね。
な:まだ紹介したい本が二つあるの?
隈:違います・・。
章があります。
本の歴史を紹介する章があり、
いろんな本を紹介する章があり、
次が自分が子供の頃からいろいろ経験してきたけど
結局絶望的な状況を感じてしまったんですよという章が次の章で
な:うん。
隈:その次が、デザイン史の説明ですかね。
な:次回かな・・
内容が切り替わるから。
今日は、本関連で・ということにした方が。
隈:・・・じゃあ、
今は上手い事まとまりすぎちゃってるので
次の私は絶望しちゃってますというパートをやって
次に繋げましょう。