2013/03/31

ふね(ねこ)

1)

2)

3)
1)完成形
2)販売用パッケージ
3)組立て前


【型】

ふね Mk.2

【紙】

・タント 180kg

【印刷】

・インクジェットプリンタ(染料インク)

【カット】

・小型カッティングプロッター

〈解説〉

『ふね(ねこ)』は、私たちの“前作”である展覧会『用途未定の紙』で
私たちと共同出展した堂東由佳さんの図案を使用させていただいています。
『用途未定の紙』の時は、“版画作品を切る”というコンセプトが重要だったため
図柄と型の関係を完全にランダムにしていたのですが、
このシリーズでは、より“雑貨っぽく”“商品っぽく”させるため
図柄と型の関係を固定させています。
つまり、前作では大きな一枚の版画の一部分が分割されて
ポストカードサイズになっていたので
同じ図柄は一枚も無かったのですが
今回は、ポストカードサイズの図柄を用意しているので
一見前作のものと同じように見えますが
制作プロセスは全然違うものになっています。

堂東さんの版画は、ゲロ吐いてる猫とかそういう
気持ち悪いシチュエーションのものが結構あって、
展覧会『用途未定の紙』の時には、そういう図柄をがんがん使っていましたが
今回は、のほほんとした猫をつかったり、
ベースの色に普段あまり使わないピンクを使ったりして、
たぶん今回はひたすら自分たちの中にある“毒”とか“小難しさ”とか“計画性”
みたいなものを抜こう抜こうとしていたんだと思います。
前々作である『KUMAUHEI WORKS Ustream CAUTION!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』が
あまりにも、その部分を強調しすぎた作品だったので
真反対に見えるものを作ることでバランスを取ろうとしていたのかも・・・



〈『ふね』の 展覧会『用途未定の紙』 での解説〉

作品解説2

そして、ふたつ目に作り始めたのがこの「ふね」です。
「おうち」を作った時に家っていう建築物(大きくて固くて強いもの)が
紙でつくることによって小さくて軽くて簡単に壊れてしまうようなものに
なってしまったことがなんだか面白くて・・・
しかも、めちゃくちゃ適当にデフォルメしても
家だと認識できるっていう感じがいいなと思いました。
この『用途未定の紙』の作品群は
「大きいものをいいかげんにデフォルメして小さくする」
っていうシリーズにしようと思いました。
(堂東さんの柄を活かしたかったので、マッシブなものを
ベースにするというのは造形的な必然性もありますが)


「ふね」というモチーフは、海のない“京都”に住んでいる私としては
あまりなじみのないものではあるのですが、
津波で流されてきた船が陸に上がっていた映像や画像を見ていた印象が強くて
「大きいもの」といったときに真っ先に思い浮かびました。
制作プロセスとしては、
まず側面から見た図を資料など何も見ずに描いてふねの形を決めました。
それを元に展開図を描いてそれを組み立てていきました。
「ふね」を作ってみて気づいたことは、
水平垂直な面や線の組み合わせでは、あまり「ふね」に見えないことでした。
水上をすべるように動くふねのイメージというのは、流線型”的”な曲線や
尖ってたり傾斜がかかっている直線の組み合わせでできているのだなと改めて感じました。

構造的な工夫の一つが船首部分の形作るためにフック状のパーツで固定するところです。
これは、これ以降に設計したほかのモデルにも応用されています。
もう一つの工夫は、船室部分のでっぱりを表現するために
谷折り部分にきれこみを入れて本体に差し込めるようにしたことです。
これにより、一枚のつながった紙を使いながら
平面の中にぽこっと船室をでっぱらせることができました。