2013/03/31

くるま(ウッド)

1)

1)'

2)

3)
1)完成形
2)販売用パッケージ
3)組立て前


【型】

くるま Mk.2

【紙】

・タント 180kg

【印刷】


・ナイロン樹脂加工
・ゴム版(凸版/顔料インク)
・インクジェットプリンタ(染料インク)

【カット】

・小型カッティングプロッター

〈解説〉


『くるま(ウッド)』は、これよく見ていただくとわかるんですが実は
『おうち(チョコ)』などに使っている木目と同じなんです。、
(柄は反転させてて、白抜きみたいな感じになってますが)
車の外装って金属とかガラスとかでできてることが多いで
質感を真逆にしたかったっていうのがまずあって、
(そもそも紙でできているのでその時点で全く車らしくない質感ではあるのですが)
木のおもちゃの車みたいにしてみたかったんですね。
で、ちょうどいいところに木目があったわ・・・
みたいなプロセスで作りました。

これ作ってるときに思ったんですが、
『スマブラ』みたいな対戦アクションゲームって
キャラクターのバリエーションというものが
ゲームの魅力(というか売り)の1つだと思うんですが、
『スマブラ』の場合、キャラクターのバリエーションをより多くする為に
すでに作ってあるキャラクターの骨格とかアクションをベースに
外見やパラメータをいじってキャラクターを増やすという
手法が取られています。
このやり方のメリットは、
キャラクターの動きをゼロから作るわけではないので
1つにかける作業量を減らすかわりに、
同じ労力でより多くのキャラクターを作れるところです。
(デメリットは、似た動きになってしまうこと なので
あまりに、この手法を多用してしまうと本と末が転倒していまいますがね)

で、今回『くるま(ウッド)』を作っていて
木目再利用とかは『スマブラ』のそれに近しいものがあるなあと感じたのです。
(自分の行為がビデオゲームの何かに似ているという話は
KUMAUHEI WORKSではかなり重要なこととして語られます。)

バリエーションを増やすという行為は
『KUMAUHEI WORKS Ustream CAUTION!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』の中で
『スーパーマリオギャラクシー』のステージ(惑星)の増やし方であったり
横尾忠則のモチーフの反復というあたりで触れていて、
実はこのあたりのことは作品の重要部分なんですよね。



〈『くるま』の 展覧会『用途未定の紙』 での解説〉


作品解説3

「大きいものをいいかげんにデフォルメして小さく」紙でつくるという指針が決まってから
「くるま」をつくる事はわりとすぐに決まっていました。
ただ、くるまといってもいろいろな形があるので、
どんな形にしようかというのは決めかねていました。
そんな時、私が大学時代にカーデザイン授業をしてくださった先生が亡くなられました。
今は紙でこんなものをつくっている私がカーデザインの授業を受けていたのは、
ちょっと意外な感じもするでしょうが、
元々「くるま」に対してはすごく複雑な気持ちを持っていて、
「くるま」をデザインするための考え方を少しでも知りたいと思っていました。
「くるま」は移動手段や運搬手段ですが、
それ以上に“車格”なんて言葉があったりして
高いくるまがステータスになるとか、
よくわからない改造をしてかっこいいと思ってる人がいたりとか・・・
“単なる道具”ではないという側面ももっています。
しかし、年間7万件以上の事故があり、4000人以上の方が亡くなっています。
そういう危険な側面をもつ道具をなんにも考えずに自分の力とかを示すような
アクセサリーとして使っちゃう神経が信じられないし、すごく嫌だと思っています。
反面、「くるま」によって人間の動ける範囲が増えたり、
できる事が増えたりした事は確実に人間を“豊か”にしたと思っています。
だから、僕はくるまに対してどういう気持ちを持てばいいのかわからないでしました。
(今でもわかっていないのですが)
先生の今際の言葉が
「日本の車社会に少しでも貢献できた事が
自分の人生にとって一番よかったこと」
だったのを聞いて
一人の人が人生をかけてそこまで思う「くるま」って
なんなのかなーっていうのをもういちど考えてみたくて
その時の授業でデザインした「くるま」をもとに、
ペーパーモデルを設計しました。

全体的な構造は、単純な箱の展開図を変形させたものですが
ボンネットとフロントガラスのあいだの凹部分は、
「ふね」で使用したフック状のパーツを応用しました。
トラックやバスなんかを簡略的に描く場合
「円と矩形」の組み合わせだけで表現できます。
「くるま」の造形は、タイヤさえ付いていれば、
曲線的なフォルムを使わなくても表現できるので
「ふね」と比べると無理のない構造でつくれたように思います。